世界最大規模 揚水発電 葛野川発電所
1
最近竜王中学の定番となりつつある葛野川発電所に行ってきました。
2調査対象 東京電力株式会社 葛野川水力建設所
3住所 郵便番号400−06 山梨県大月市猿橋町殿上195
4電話 1554−23−2831
5調査の概要
葛野川発電所は山梨県塩山市をながれる富士川水系日川の上流に上部ダムを、大月を流れる相模川水系土室川に下部ダムを建設しこの間の有効落差714mを利用して、単機出力40万kwの発電器4台により最大出力160万kwの発電を行う純揚水式発電所です。現在建築中であるが(h11.6.25日現在)、高瀬川発電所128万kwを抜き最大級の出力を誇ります。我々は、このうち建設中の今しかみれないものをと東電にお願いし、下部ダムと地下発電所を視察した。
6水力発電のメカニズム
水力発電とは水の持つエネルギーすなわち水力を利用して電気エネルギーを発生する発電方式です。
河川、湖沼などの水を水路に導くか、またはダムを構築して河水をせきあげ、あるいはこの両者の併用によって水にある落差(HEADという)を与え、この高所の水を連続して下流させて水の持つエネルギーを水車を通して回転エネルギーにかえ、この機械的エネルギーにより発電器を回転させ電気エネルギーを発生する。
理論水力
流量Q(m3/sec)の有効落差が落差H(m)を落下して単位時間になす仕事量を理論水力といいます。
これを重力単位で示すと以下のようになります。
pw=w0QHe=1,000QHe(s・m/sec)・・・・・・今回はまとめきれず・・・・
葛川揚水発電所の調査を行った。以下は担当の小池さんとの会話を記録したものである。
車内の雑談よりスタート
小池
ダムを造るのは最もコンクリート部分にお金がかかるんですよ。この場所を我が社が選んだ理由も岩盤が強く、かつ谷が狭いこの環境が適していたわけです。うつコンクリートの量が多いと割高になってしまうんですよ。
下ダムの上空写真 資料 葛野川発電所パンフレットより
総貯水用量は1,147万立方メートル、東京ドーム9杯分に相当します。
発電に使用する有効貯水量は830万メートル立方です。
小池
さあ、上ダムに到着しました。
下ダム入り口 現在はもちろん施錠されている。
小池
上ダムの水が少なくなれば下ダムの水面があがってきます。これを利用水深といいます。水位変化は下ダムですと26m位上下します。上ダムですと21m上下します。しかも、一日の変化です。8時間で26位をこのダムですと上下する事になります。26mの上下は830万立法メートルに相当します。
正式名称 コンクリート重力式ダム 高さ105.2m 堤頂長 263.5m 堤頂幅 7.5m 堤体積 622,000メートル立方
下ダムの様子
ダムの工事の大まかな流れ
@ ダム基礎堀削
ダム自体の重量と湛水(ダムに水をためること)した水の重量を支えるため、堅牢な岩盤がでてくるまで掘削を行います。
A 基礎処理
岩盤に微細な割れ目や水道があると、湛水したとき漏水することが考えられる。そのため必要なところにはグラウトを行う。グラウトとはセメントミルクを割れ目の多い岩盤に流し込み水密性をあげる方法です。
Bコンクリート打設
RCD工法という方法によりコンクリートを打設します。左の写真がそうですが、バッチャープラント(生コンクリートをつくる工場、写真中央のダムの上流側)でつくった生コンを20tタワークレーンを用いて打設箇所に運搬して、10t振動ローラで締め固めをします。(道路のアスファルトをならすときに使うローラーのような重機。)これを、1mの層厚ごとに順次繰り返して施工していきます。
小池
下に見える水の流れは河川維持のために行っているものです。
ダムの表面の水を河川に戻し、生態系に影響がないようにしています。
下ダムの様子
小池
確率的には200年に一回起こりうるかもしれない洪水に対して吐き出せるような構造を持たせてあります。
毎秒480立方メートルの水を吐き出すことができます。
これを洪水吐きゲートといいます。
上ダム下から 洪水吐きゲート
洪水吐きゲート 上からの様子
小池
山に亀裂があるとどうしても水がまわっていまうんです。
ブラウトホールと言いますが山の方向に20mから30m掘ってありまして、セメントミルクを流し込み圧力をかけるともうさい現象と同じ理屈で割れ目にセメントが入っていくのです。
ブラウトホール
水圧管路は1メート平方あたり最大1200トンもの水圧がかかります。このため、抗張力鋼鈑(最大94mm厚)をコンクリートトンネルの内側に張り水圧に耐える構造になっています。
小池
上のゲートは20で閉鎖する事ができます。
水圧管路 下ダム放水口ゲート付近の写真
導水路内部写真 内径8.2m 延長3165m 水はこの中を毎秒280立方メートル流れる。
建設当時の写真 東電提供
小池
右下の土の部分は自然景観上、植物の種を植え、発芽することで景観と自然の威力による保守をしています。
下ダムのコンクリート内部
自動車にて今度は地下発電所へ移動です。
暗いトンネルの中を進んでいきます。
小池
山梨には雁坂トンネルがありますが、埼玉にもまたがっている事を考えればこのトンネルが山梨で一番長いですね。
ナトム工法という方法でトンネルを作ったそうです。トンネルの自立を利用した工法で、補強にセメントとロックアンカーを使用します。
このトンネルはメンテナンス用に使用される。
道路勾配は10%片側2.5kmである。
発電所搬入トンネル
TBM(トンネルボーリングマシン)の写真
このTMBの写真が掘っているのは水圧管路で直径9mあります。
水車に導くためのこの管は1メートル立方あたり1200tの水圧がかかります。
地下発電所に到着しました。
すごい????
地下発電所は地表から500mの深さのところに、
長さ210m、
高さ54m、
幅34m、
容積25万立方メートルで国内最大規模。
ここに1台40万キロワットの発電器4台を設置して最大出力160万キロワットを発電します
奥に一号機の発電器が備え付けられている。
奥の手前には備え付け作業中の発電器が見える。
真ん中付近は発電器が入る巨大な穴が見える。
地下発電所の様子
発電器を納める予定の空洞
一号機発電電動機
ポンプ水車軸の上部に設置され、真ん中の軸が連結され、ポンプ水車が回転する力で発電電動機も回転します。
回転数は、ポンプ水車と同じ毎分500回転です。出力は475MW、揚水時で438MWです。
ポンプ水車組立状況写真
一号機ポンプ水車軸
形式 フランシス型
上流からきた水はランナーと呼ばれる羽のついた部分にあたり、ランナーを通って落ちる。
(人の座っているところ)
使用水量はポンプ水車1台あたり毎秒70メートル立方で、計四台据え付けるので最大280メートル立方の水を使います。
ランナーは直径4.5m、ポンプ水車軸約50tです。
昼は、上流からの水の勢いで毎分500回転、電気を起こしている。
夜は揚水時に逆転し下部調整池の水を上部調整池へ汲み上げます。
発電機の主軸の前で
上記の写真の白色の部分
埋め込まれた発電器の上部