子育ての変貌の要旨
現在子育ては、母親の達成すべき「業績」ヘと変貌した。
母親は、子育てのために自分自身の生きがいを断念し、子育てにのめり込む。
そうなると、子どもはマイペースで育つことが許されない。
常に、せき立てられる。そして、母親自身の人生の意味をも背負わされ、代理競争させられるということも起こりうる。
こどもは、成長の過程で自分らしさを発見し、自分の人生を切り開いていくものであろう。
親はそのような「子育て」の支援者であったはずだった。
しかし、いつのまにか「子どものために」良かれと思う目標を設定してやり、それに向かって子どもを駆り立てるコーチになってしまった。
現代の良い子とは、親の期待通りに走る選手のようだ。
ありのままの自分を親に受容してもらえない子どもは、つらい。
なにか問題を起こす子どもは、大抵自分を認めてもらいたいのである。
今日、健常児に課せられる達成水準はべらぼうに高い。
スポーツや音楽も含めて総ての教科がこなせなければならない上に、友達も沢山作らねばならないし、明るく元気で個性的であれと期待される
変貌する家族と子育て 舟橋恵子 ゆらぐ家族と地域 岩波講座 現代教育の危機と改革 より